第3世代の不可能立体

鏡に映すと姿が変わる「変身立体」


 二つの方向から見たとき、まったく違った姿に見える新しい立体錯視を発見しました。1枚の画像には奥行きの情報がないためそこに映っている立体はひとつには決まらないという数理的知見と、 人間の脳は画像を解釈するとき直角を優先するという心理学的知見を組み合わせて作ったものです。

 立体の後ろに鏡を立てると、二つの視点から見た姿を同時に観察できるため、不思議さが いっそう増します。もちろん、鏡に映しただけで立体が物理的に変形するわけはありませんから、これは錯視(つまり目の錯覚)の一種です。

 1本の線分を、方向を変えないで動かしたとき掃きだす曲面として作った立体で、この錯視はよく起こります。この曲面は、閉じた筒のようになっていても、屋根のように閉じなくてもかまいません。


「変身するガレージ屋根」

 屋根が鏡の中では別の形に見えます。私たちの脳は、屋根の端を棟方向に直角な平面で切断した切り口だと解釈するようです。この屋根は、展開図から紙工作で作れます。実際に立体を作って手にとって眺めると、この錯視の不思議さ(つまり、私たちの脳の働きの不思議さ)がいっそう強く体験できると思います。なお、この作品は2015年のBest Illusion of the Year Contest で準優勝 しました。


「満月と星」

 この立体の断面は、直接見ると満月の形に見えますが、鏡の中では星の形に見えます。。(画像の 右下に、この立体を一般の方向から見た姿も添えてあります。) この立体は、「変身する柱体『満月と星』」というタイトルで、2014年11月に行われた 日本図学会第8回デジタルモデリングコンテスト造形部門で 優秀作品賞 に選ばれました。


「ワイングラスとボトル」

 この立体の断面は、直接見るとワイングラスに見えますが、鏡の中ではボトルに見えます。


「花と蝶」

 柱体の断面は、直接見ると6弁の花の形に見えますが、鏡の中では蝶の形に見えます。(画像の 右下に、この立体を一般の方向から見た姿も添えてあります。)


「回転するイチョウの葉」

 柱体の断面は、イチョウの葉っぱをイメージして作りました。この断面の形は、鏡に移しても変わりません。その代わり、鏡の中では90度回転しています。 (画像の右下に、この立体を一般の方向から見た姿も添えてあります。)


最近の作品です。






変身立体「四角と丸」


この立体錯視は、2016年6月に行われた第12回ベスト錯覚コンテスト(12th Best Illusion of the Year Contest)で2位を獲得しました。

3Dプリンター用のデータはここです。

大型モデル (120幅, 80奥行き, 54高さ、単位はmmです) 3Dプリンタ用データ(大型)
コンテストでは、この大きさのモデルを使いました。ただし、プリントするためには、大型の3Dプリンター が必要で、制作にかかる費用も安くはありません。

小型モデル (60幅, 40奥行き, 27高さ、単位はmmです) 3Dプリンタ用データ(小型)
この大きさなら、多くの3Dプリンターにかけられると思います。

立体は、互いに向かい合う方向から45度の角度で見下ろすとき、最もきれいに四角と丸が見えるように設計してあります。


立体の後ろに鏡を立てると、二つの方向が一緒に見られますから、効果的に展示できます。ただし、鏡は垂直に立てたのではいけません。


鏡は、少し前に倒し気味に立てます。ですから、水平な軸の周りで回転して向きを調整できる鏡があるといいです。立体を見る距離を決めてから、鏡の向きを調整して、四角と丸がきれいに見える角度を見つけてください。


この立体錯視を楽しんでいただけたらうれしいです。


変身立体の動画


 変身立体の秘密を、電子書籍  

「変身立体:鏡に映すと姿が変わる立体錯視の秘密」

にまとめました。次の二つがありますが、同じものです。